続・今も残る海藻を祭る神事      縄文時代から海藻好きな日本人

孫族が大和朝廷を創建したとき、国家統一に協力した海人族の長をまつって功労を謝し、海人族のとる海産物を喜んで受け入れました。

 また、海人族は朝廷の庇護のもとに、安んじて海産物を採取できることに感謝の念を持ち、さらにいっそうの豊作と安全な採取を祈願するために祭りをとり行なったのです。

 いくつかの神社には、とくに海藻だけを取り上げて行う神事が今も残っています。

 この海藻神事こそは、天孫、海人族融和の協奏曲であり、遠い神代の昔、両族が日本民族を形成していく過程で、海藻採取をさかんに行った有様を物語る、 海洋叙事詩でもあるのです。

 海藻神事は、有史以前からのアマ(海人族のこと・アマに関しては別に掲載致 します)の居住地域であり、海藻の二大採取地である、伊勢志摩方面と出雲国 を含む山陰、北九州に集中しています。  例外として東北地方もありますが、これとても西南日本出身のアマが関係して います。


勢神宮の神事(三重県) 6月15日、まず禰宜(ネギ・神官)が乗馬で鹿海(かのみ)に行きます。

 そこの鐘宮から乗船し、小朝熊社を参拝し、荒崎に渡り、水ごりし、荒カキやミル(海藻)を採り、土地の人から生鯛やアワビの供進をうけ、饗宴を設けます。  帰途の船中では歌をうたい、土産の海産物は由貴殿(食物蔵)へ納めます。 


士潜女神社の「荒海(あらめ)神事」(三重県) 五月晦日「荒海神事」と称し、アラメを刈り取り神饌とします。

 アラメはアワビの食餌ですから、それまでは採取は禁じられています。

 翌六月一日には「御贄(みにえ)神事」と称え、六か村の清浄なアマたちが、 アワビを採取し、これを伊勢神宮へ神饌として献納する神事を行います。  献納海産品は、アワビ、アラメのほかワカメも含まれます。

 神事が終了したのち、六月四日以降は御饌磯(みけいそ)の禁漁が解かれます。
(★御饌磯とは神門の浜とも称し、神官へ神饌を納めるために特別に区画された海の一部)

 伊勢神宮に関する神事は、神饌料を得ることにあり、最上の海産物の得られる時期を選んで行い、魚介類が主で、海藻採取は従である点に特徴があります。