寒天〜ところてん

国では
 テングサを煮出してとろとろにしたものを『瓊脂』(たまあぶら) といって古くから食用にしてきました。 この製法が日本に伝わってきたのが八世紀頃です。

 日本では 心太(こころぶと)と呼ばれ、これがいまでいうトコロテンになっ たのです。  江戸時代には広く庶民の食べ物としても親しまれるようになり、酢醤油をかけ て食べるトコロテンは涼味をさそう一品だったのです。 寒天は、このトコロテンから生まれました。

 江戸時代1660年頃、冬、京都伏見の宿で参勤交代で宿泊した薩摩藩主島津 大隈守に供したトコロテンの残りを屋外に捨てておいたところ、数日後にはそ れが白い乾物になっていたといいます。

 それを発見した宿主の美濃屋太郎左衛門が、不思議に思って水で煮たところ、 それが溶け出し、冷ますとまたトコロテンに戻ったところから製法を思いつい たとか。 これが現在の寒天の起こりで、当時は瓊油(たまあぶら)の干物として売ら れていたそうです。

 寒天やトコロテンの原料となるのがゲル化の強いテングサ、オニクサ、 オオブサ、ヒラクサなどのテングサ属とゲル化力ではやや弱いオゴノリ、エゴ ノリなどの紅藻が多く使われます。  これらを混ぜ合わせて寒天やトコロテンが作られているわけです。

 テングサは、日本ほか多くの国に自生し、日本では五月上旬から九月頃まで採取され、そのほとんどがトコロテンや寒天の原料となっています.

 オゴノリは世界各国、日本各地の沿岸に生育し、中国などでは養殖もし、体長も大きなものでも30cmくらい。 比較的採取しやすく、一般に出回りやすいこともあって、刺身のつまやサラダなどにして食べられています。

 寒天には角寒天と細寒天があり、トコロテンの天突きを利用して糸状にしたも のが細寒天、角型にしたものが角寒天です。天然のものは冬場に作られ、長野県や岐阜県、京都などが産地です。

 寒天はさまざまな用途に用いられていますが、羊羹やゼリーを作るときに使ったり、食品加工ではジャムやくず餅などのお菓子用に使われています。 寒天は水につけておくと膨張し、これを加熱するとどろどろの液体になります。

 この状態から羊羹などを作るのですが、では、成分はどうでしょうか? ミネラルなどはバランスよく含まれていますが、多の海藻よりは少ないといえます。

 寒天のほとんどはガラクタンといわれる酸性多糖類で、アルギン酸やフコイダ ンとともに、消化されにくい物質でカロリー源にはなりません。

 また、特殊な細菌以外は寒天を分解できない特性から、化学の培養培地に利用されます。
 寒天を精製してアガロースという名前で呼んでいる寒天は、DNAの成分解析 や免疫反応の測定の支持体として使われています。